不運を呼び寄せる私ですが、あなたに恋をしてもいいですか?
ようやく息をすることができ、
「大丈夫です」
そうなんとか答えた。
「大丈夫じゃないでしょう! 身体を強くぶつけたんじゃ?」
「え、あ、ちょっと」
「医務室で診てもらいましょう」
「え?」
「今から診てもらうんです」
「あ、でも……」
歩実は頭を上げ、男性の顔を窺った。
その瞬間、歩実の心臓が大きく跳ねる。同時に懐かしさのような感情がじわりと込み上げた。けれど、目の前にいる男性に会った記憶はない。
「私も一緒に行きますから」
「えっ? そ、そういうことではなくて、もうすぐ仕事も始まりますし」
「何か急ぎの仕事でも?」
「仕事は通常業務ですが……」
「だったら大丈夫。私が直属の上司に連絡しておきます。まずは自分の身体のことを心配しましょう」
こんがりと日焼けした端正な顔立ちに至近距離で見つめられ、歩実はドキッとする。
「は、はい……」
「お名前は? あっ、ネーム見せてもらいますね」
男性は歩実の返事も待たず、首にぶら下げていた社員証を手に取ると、一瞬目を見開いた。僅かな沈黙も漂う。
「あ、あのぅ……」
男性はハッとしたように笑顔を作り、スーツのポケットからスマホを取り出すと、どこかに電話をかけ始めた。
「大丈夫です」
そうなんとか答えた。
「大丈夫じゃないでしょう! 身体を強くぶつけたんじゃ?」
「え、あ、ちょっと」
「医務室で診てもらいましょう」
「え?」
「今から診てもらうんです」
「あ、でも……」
歩実は頭を上げ、男性の顔を窺った。
その瞬間、歩実の心臓が大きく跳ねる。同時に懐かしさのような感情がじわりと込み上げた。けれど、目の前にいる男性に会った記憶はない。
「私も一緒に行きますから」
「えっ? そ、そういうことではなくて、もうすぐ仕事も始まりますし」
「何か急ぎの仕事でも?」
「仕事は通常業務ですが……」
「だったら大丈夫。私が直属の上司に連絡しておきます。まずは自分の身体のことを心配しましょう」
こんがりと日焼けした端正な顔立ちに至近距離で見つめられ、歩実はドキッとする。
「は、はい……」
「お名前は? あっ、ネーム見せてもらいますね」
男性は歩実の返事も待たず、首にぶら下げていた社員証を手に取ると、一瞬目を見開いた。僅かな沈黙も漂う。
「あ、あのぅ……」
男性はハッとしたように笑顔を作り、スーツのポケットからスマホを取り出すと、どこかに電話をかけ始めた。