不運を呼び寄せる私ですが、あなたに恋をしてもいいですか?
昼休み。パソコンを前に、大きなため息を吐く。
歩実はガックリと肩を落とした。
絢人に応援してもらったにも関わらず、コンテストは、箸にも棒にもかからなかった。

人生そんなに甘くないか……

落ち込む歩実に、宮脇が声を掛けてきた。

「次よ次! 諦めずに頑張れ!」

「宮脇さん……」

「ちょっとぉ、そんな子犬みたいなウルウルした目で見ないでぇ〜 抱きしめたくなっちゃう」

「うぅぅぅ……」

「しょうがないなぁ、よし、今日はお昼奢ったげる。ガツンとトンカツでもいっとく? 食欲ないとは言わせないわよ!」

「甘えさせてもらっていいですか?」

「よし! 決まりね。ほら、行くよ」

宮脇は歩実の肩をポンッと叩き、近くの定食屋へ連れ出した。

店に着くと、奥のテーブル席に通された。ふたりでトンカツ定食を注文する。
悲しくてあまり食べられないかもしれないと思っていたが、ペロリとたいらげた。

「宮脇さん、ごちそうさまでした」

「どういたしまして」

食べ終わり、店を出ようと引き戸を開けると、ビジネスマンと思われる男性と鉢合わせた。顔を上げ、

「あっ」

と声を漏らす。

「常務!」

驚いた声を上げたのは宮脇だった。

「お疲れさま」

絢人が優しく声をかける。

「「お疲れさまです」」

ふたりで挨拶をした。
堅物だと思っていた絢人の笑顔に宮脇は瞬きを繰り返している。そんな中、

「ケン!」

男性の声が店の中から飛んできた。

懐かしく愛しい名に、歩実は敏感に反応する。同時に、絢人が軽く手を上げた。

えっ⁉︎ どうして常務が手を?

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