不運を呼び寄せる私ですが、あなたに恋をしてもいいですか?
「俺はね、自分の名前が嫌いだった。いや、自分自身が嫌いだったんだ」
思いもよらない告白に、歩実は何も言葉発することができず、絢人の目をただただ見据えた。
「医務室で姉が言っていただろう。昔の俺は手がつけられないほどやんちゃだったのにって。覚えてる?」
浅く頷く歩実。
「優秀な兄と姉。それに比べて俺は何をするにも鈍臭くて、段々自分を卑下するようになったんだ。俺なんかいない方がマシなんじゃないかって。ホント、自分が嫌いで嫌いで。名前も、学校で担任が " シマガケント" って間違えてから、みんながケンって呼ぶようになった。俺も案外気に入ってたんだ。窮屈な自分から抜け出せた気がして。どうしようもないほど悪さばかりしてた。問題児だね。あまりにも目に余るもんだから、夏休みの間、母方の祖母に預けられることになった。田舎で何もないし悪友もいない。嶋賀の息子だってことも公にはしなかったから、媚を売ってくる大人もいない。案外居心地良かったんだ。それに、君にも会えたしね」
「私、ですか?」
絢人がゆっくりと頷く。
「君は、回覧板を届けに来てくれていたよね。その時、元気よく挨拶して、祖母がお菓子を渡すと満面の笑みでありがとう! って、まるで太陽みたいだった。散歩中の犬にまで暑いねって話しかけたり、道端に咲いてる花にも話しかけてたね。純粋な君を見ていると、自分の行動が馬鹿馬鹿しく思えてきたんだ。それからだな、勉強も真面目にやるようになった。俺、文系は苦手だけど、理数系は結構得意だったんだよ。それであの夏祭りの日、竜巻でテントが飛ばされた。テントが落下する方に視線を向けると、君が立ち尽くしていた。近くには露店車があったから、身体を屈めれば、テントの直撃は免れるって計算できた。だから、しゃがめって言うより、俺が走った方が早いって思って、君に覆い被さった。あの時の俺めちゃくちゃ冷静だったんだ。瞬時に判断できたのも、自分に自信を持てていたからだと思う。怪我をしたのはただ単に俺のミス。足のこと忘れてた」
絢人は苦笑った。
思いもよらない告白に、歩実は何も言葉発することができず、絢人の目をただただ見据えた。
「医務室で姉が言っていただろう。昔の俺は手がつけられないほどやんちゃだったのにって。覚えてる?」
浅く頷く歩実。
「優秀な兄と姉。それに比べて俺は何をするにも鈍臭くて、段々自分を卑下するようになったんだ。俺なんかいない方がマシなんじゃないかって。ホント、自分が嫌いで嫌いで。名前も、学校で担任が " シマガケント" って間違えてから、みんながケンって呼ぶようになった。俺も案外気に入ってたんだ。窮屈な自分から抜け出せた気がして。どうしようもないほど悪さばかりしてた。問題児だね。あまりにも目に余るもんだから、夏休みの間、母方の祖母に預けられることになった。田舎で何もないし悪友もいない。嶋賀の息子だってことも公にはしなかったから、媚を売ってくる大人もいない。案外居心地良かったんだ。それに、君にも会えたしね」
「私、ですか?」
絢人がゆっくりと頷く。
「君は、回覧板を届けに来てくれていたよね。その時、元気よく挨拶して、祖母がお菓子を渡すと満面の笑みでありがとう! って、まるで太陽みたいだった。散歩中の犬にまで暑いねって話しかけたり、道端に咲いてる花にも話しかけてたね。純粋な君を見ていると、自分の行動が馬鹿馬鹿しく思えてきたんだ。それからだな、勉強も真面目にやるようになった。俺、文系は苦手だけど、理数系は結構得意だったんだよ。それであの夏祭りの日、竜巻でテントが飛ばされた。テントが落下する方に視線を向けると、君が立ち尽くしていた。近くには露店車があったから、身体を屈めれば、テントの直撃は免れるって計算できた。だから、しゃがめって言うより、俺が走った方が早いって思って、君に覆い被さった。あの時の俺めちゃくちゃ冷静だったんだ。瞬時に判断できたのも、自分に自信を持てていたからだと思う。怪我をしたのはただ単に俺のミス。足のこと忘れてた」
絢人は苦笑った。