不運を呼び寄せる私ですが、あなたに恋をしてもいいですか?
「私が何故、地元からこっちに出てきたか教えてあげましょうか?」

「う、うん」

「初恋の人を探しにきたんです」

「えっ⁉︎」

「私、どうしてもケンくんに会いたくて、両親にケンくんの名前を訊いたけど、梶谷のおばあちゃんが濁して教えてくれなかったって。だから、毎年東京から来てるって以外有力な情報は皆無だし、とにかく上京して、ケンくんを見つけよう。そう思って、両親を説得して無理矢理こっちに出てきたんです。自分だけじゃ無理だから、興信所に依頼しようとも考えてました。料金訊いたらちょっと手を出せなくて、いつか依頼できるようにって毎月貯金してました」

「そ、そうだったの?」

目を瞬かせる絢人に頷いて見せると、「ごめん」と返ってきた。

歩実は激しくかぶりを振る。

「でも、もう興信所も必要ありません。こうして会えましたから」

歩実が微笑むと、絢人も「そうだね」と柔和な表情を浮かべた。

「あぁぁぁ、告白してスッキリしたら、なんだかお腹が減ってきました」

あっけらかんと話す歩実に向かい、絢人はククッと笑った。

「じゃあ、何か食べよう。苦手な食べ物はある?」

「ありません。出されたものは美味しくいただく派です」

「じゃあ、任せてもらっていいかな?」

「はい、お願いします!」

絢人はおすすめのコース料理を注文し、地元での懐かしい話や、以前の勤め先が倒産した時の話など、ふたりは穏やかは食事の時間を過ごした。

< 26 / 31 >

この作品をシェア

pagetop