不運を呼び寄せる私ですが、あなたに恋をしてもいいですか?
事故当日、ケンも絹枝と一緒に祭りを楽しんでいた。露店で買い物をしている最中にテントが吹き飛ばされ、ふたりはすぐに避難した。だが、足がすくんで動けずにいた歩実に気がついたケンが、歩実に駆け寄り、咄嗟に歩実に覆い被さったのだ。
幸い近くにあった露店車が盾になり、テントの直撃は免れたが、露店車が支えきれなかったパイプの柱が、歩実を庇ったケンの足に倒れかかってきた。
ケンのおかげで歩実は軽い打ち身と擦り傷だけで済んだ。けれど、一緒に病院に運ばれたケンは左足を挫創。命に別状はなかったものの、手術痕が残ってしまった。傷跡は完全に消えることはないとのこと。
娘を庇い、身代わりになって怪我を負ったケンと祖母の絹枝に、歩実の両親は何度も何度も頭を下げた。ケンのために出来ることは何でもする。そう申し出たが、ケンも絹枝も、名誉の負傷、男の勲章だと笑い飛ばしていた。
ごめんなさいと謝る歩実に、
「歩実ちゃんは何も悪くないよ」
そう言って、ケンは歩実の頭に手を乗せ、優しく撫でてくれた。
歩実の心がキューッとなる。一瞬にして頬が真っ赤になった。この感情が何なのか、この時の歩実には全くわかっていなかった。
幸い近くにあった露店車が盾になり、テントの直撃は免れたが、露店車が支えきれなかったパイプの柱が、歩実を庇ったケンの足に倒れかかってきた。
ケンのおかげで歩実は軽い打ち身と擦り傷だけで済んだ。けれど、一緒に病院に運ばれたケンは左足を挫創。命に別状はなかったものの、手術痕が残ってしまった。傷跡は完全に消えることはないとのこと。
娘を庇い、身代わりになって怪我を負ったケンと祖母の絹枝に、歩実の両親は何度も何度も頭を下げた。ケンのために出来ることは何でもする。そう申し出たが、ケンも絹枝も、名誉の負傷、男の勲章だと笑い飛ばしていた。
ごめんなさいと謝る歩実に、
「歩実ちゃんは何も悪くないよ」
そう言って、ケンは歩実の頭に手を乗せ、優しく撫でてくれた。
歩実の心がキューッとなる。一瞬にして頬が真っ赤になった。この感情が何なのか、この時の歩実には全くわかっていなかった。