手を握ってくれたあなたともう一度
一瞬の熱さでナイフを手放したリアラ。
音を立てながら地面にナイフが落ちたのを確認したサザネは落ちてくるリアラを受け止めようと走り出したゼスを守るように魔法を発動させた。

一面に覆いつくされていた黒い霧が少しずつ晴れていく。
リアラに纏っていた黒い霧が全て晴れたと同時にゼスは地面ギリギリのところでリアラを抱き留めた。

「リアラ、リアラ!」

出血しているところを手で押さえながら声をかけるが返事がない。

「すぐ救護班のところに連れて行くからな、」

ゼスがリアラを抱え、立ち上がろうとしたとき

「やめ、て・・・」

弱々しいがハッキリとリアラの声が聞こえた。

「リアラ!?」

すぐさまゼスは自分の膝を枕にしてリアラを寝かす。

「腹部以外で痛むところはあるか?」

首をゆっくり横に振る。

「そうか、すぐに救護班の元へ連れて行くからもう少しだけ我慢できるか」

ゼスの問いかけにリアラはまた首を横に振る。

「連れて、行かない、で・・・、このまま、死なせて・・っ」

その言葉にゼスは言葉を失う。
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