手を握ってくれたあなたともう一度
「私ね、ここに来る前にも、一度だけ、力が暴走したことが、あるの・・・っ。
その時にね、私・・・」

リアラの目から大粒の涙が流れる。

「家族を、死なせちゃったんだ、、っ
妖怪から守りたいって、強く、思っただけなのに、気付いたら、この力で、家族をっ」

「リアラ、」

「もう、誰も、傷つけたくないっ、失いたくないの・・・」

悲痛な訴えにゼスはかける言葉が見つからなかった。
とめどなく溢れる涙をリアラは拭うことなく話し続ける。

「だから、お願いっ、このまま、死なせて・・ッ」

「ッ・・、俺は、俺は・・・!」

グッと歯を食いしばる。
涙が出そうになるのをゼスは必死に堪える。

「俺は、誰かを助けたくて魔法団をつくったんだ。
みんなが安心して暮らせるように。幸せに暮らせるように。
そんな願いを込めて魔法だって習得した。
なのに、目の前にいる人を助けることも出来なくて、なにが魔法団だよ・・」

リアラはそっとゼスの頬を撫でた。

「助けて、くれたじゃん・・・
森の中で、私を、助けてくれたっ、包帯を足に、巻いてくれたっ
美味しいご飯を、食べさせてくれてっ、楽しいお祭りにも、連れて行ってくれたっ・・」

優しくリアラは微笑む。
< 39 / 60 >

この作品をシェア

pagetop