甘やかな契約婚 〜大富豪の旦那様はみりん屋の娘を溺愛する〜
思わずこぼれた言葉に、涙が滲みそうになった。慌てて目を瞬かせ、感情を押し込める。
「その……この味醂……」
言葉を続けるのが怖かったが、聞かずにはいられなかった。
「【みやび】のだ」
短い答えに、心臓が止まりそうになる。
「どうして……? なぜ、うちの味醂を……?」
声が震え、言葉が途切れがちになる。彼は一瞬、鍋を見つめたまま黙り込んだ。まるで、言葉を選んでいるかのように。
「俺は……ずっと、あの味醂のファンだった。……隠していたがな」