長すぎた春に、別れを告げたら
「な、なに言って」

「こいつ、あなたのことが好きみたいなんですよ」

「治久っ……!」

勝手に伝えられてうろたえた。

冗談だと早く弁明しなければ。

相良さんは私と治久を交互に見た。

そして私に視線を固定して、きれいな唇を開く。

「それではお付き合いしましょう。これからよろしくお願いします」

「……え?」

相良さんの返事に、私も治久もぽかんとした。

「行きましょうか」

いきなり相良さんに手を握られて、ひゃっと悲鳴が漏れる。彼は私と治久を引き離し、すたすた歩き始めた。

「は? 嘘だろ!?」

治久が喚いても相良さんは目もくれない。いったいなにがどうなっているのだろう。

「あなたも振り返らないで。困ってるようだったので話を合わせたのですがよかったですか?」

相良さんに問われた。

状況を察した彼は機転を利かせ、私を助けてくれたのだ。

「はい、ありがとうございました……。すみません、巻き込んでしまって……」

「お気になさらないでください。ちょうどあなたに会いにきたところだったので」

「え?」
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