長すぎた春に、別れを告げたら
「ではスマートフォンを買いに、俺も一緒に行っていいですか?」

突然の申し出に、私は面食らう。

「え?」

「今日はこのまま直帰なので」

「でも、相良さんには彼女がいるんじゃ……」

大切な人がいるのに、私なんかと買い物に出かけてはいけないだろう。

「彼女? いないですよ」

「でもこの間、スマートフォンを見て『かわいいな』って……」

たしかにそうつぶやいていた。

思わず聞くと、彼は一瞬なんのことかわからないといった様子だったけれど、「ああ」とうなずく。

「猫ですね。あのときは、玄関で待ってる姿がペットカメラから送られてきたんです」

まさかの猫。

とんだ勘違いをしていたみたいだ。

なぜかほっとしていている自分に気づき、慌てて首を横に振る。

「猫ちゃんが待っていたら、早く帰らないわけにはいきませんものね。私も猫ちゃん大好きです」

とくに断る理由もなくなり、結局買い物に付き合ってもらった。ちょうど彼も新しいスマートフォンを見たかったようだ。

相良さんが隣にいると、女性たちの熱い視線を感じる。いつもこんなに注目される彼は大変だろうなと思った。私なら家に引きこもってしまうかもしれない。
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