長すぎた春に、別れを告げたら
「これでひと安心です」

無事にスマートフォンを新調して店を出た。

すいすい動くスマートフォンは快適で、ほしかった桜色の機種の在庫もあったのでタイミングがよかった。

「それじゃあ、私はそこの駅から電車に乗ります。相良さんはどうしますか?」

私は彼に尋ねた。

「俺が住んでるマンションはここから歩いていける距離にあるんですが、よければ猫を見に来ますか? って、動物をダシにする男は気持ち悪いか」

相良さんは自分に突っ込みながら険しい顔をした。

私が猫を大好きだと言ったので誘ってくれたのだろうか。彼からは下心のようなものはかけらも感じない。

それにしてもギャップが大きい人だ。これだけかっこよくて超エリートなら、中身も派手なのだとばかり思っていた。

相良さんには驕ったところがない。

だから私なんかでも身構えずに自然体でいられる。

「少しだけ伺ってもいいですか?」

せっかくなので相良さんの愛猫に会わせてもらうことにした。猫は子どもの頃に飼っていて、触れ合うのは久しぶりだ。

彼がひとり暮らしをしている低層マンションは落ち着いた雰囲気で、緑豊かな敷地内には色とりどりの花が咲いていた。私が住んでいるマンションとは比にならないほど高級そうだ。彼は三階に住んでいるという。
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