長すぎた春に、別れを告げたら
「にゃ~」

相良さんが玄関ドアを開けると、かわいらしい茶トラの猫がお出迎えしてくれた。

「わあ、かわいいですね。名前はなんですか?」

「キャラメル。メルって呼んでます」

「メルくん」

名前もかわいらしい。

「もともとは野良猫で、去年の夏に暑さでぐったりしているところを保護したんです」

性別は男の子で、動物病院の先生によると三歳くらいみたいだ。最初は警戒心が強く、懐くまで時間がかかったという。今ではすっかり甘えん坊の家猫で、私の脚に体をすり寄せて甘えてきた。

広いリビングのソファに座ると、ぴょんと膝の上に乗ってくる。

「メル、浜名さんを気に入ったみたいですね」

「うれしいです」

ゴロゴロと喉を鳴らすメルくんを思う存分撫でた。野良猫だったとは思えないくらい毛並みがいい。きっと栄養のあるフードを食べさせてもらい、こまめにブラッシングをしてもらっているのだろう。

メルくんと戯れていると、相良さんがお茶を淹れてくれた。
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