長すぎた春に、別れを告げたら
「相良さんも本を読むのが好きなんですか?」

リビングにはたくさんの本があり、興味をそそられる。

友人が大手の出版社で編集長をしていると言っていたけれど、相良さんもかなりの読書家のようだ。

「はい。週に一冊は小説を読むようにしています」

「どういったジャンルを?」

「主にミステリーですね」

「私もミステリーが好きなんです」

秀逸な叙述トリックに出会うたび、今回も見事に騙された!と作家の才能に感服する瞬間がたまらない。

「これ、おもしろかったですよ」

相良さんが勧めてくれたのは、新進気鋭作家のミステリー小説だ。装丁もいいし帯もインパクトがある。

「その本、気になってました」

「よければお貸しします」

「いいんですか?」

ネタバレにならない程度にあらすじを聞いた。ラストシーンに大どんでん返しが期待できそうだ。

本を借りて、長居すると迷惑だろうからすぐにおいとますることにした。
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