長すぎた春に、別れを告げたら
「頼られるのが好きだと言ったのに、あなたは俺を頼ってくれないんですね」

悲しそうにつぶやかれて息を呑む。

「なにかあったんでしょう?」

もう一度問われて、私はゆっくりと俯いた。

彼は私の異変を感じ取っているようだ。

「……私なんかに頼られても迷惑なだけです」

「迷惑じゃないよ」

初めての砕けた口調が、本心なのだと示しているようだった。

彼は隣の席に座って、私が話すのを待ってくれる。

本当に相談してもいいのだろうか。

「……実は」

治久からずっと電話やメッセージが届いていたこと、最近はそれがエスカレートしてマンションの前で待ち伏せされていることを打ち明けた。

「やっぱりそうでしたか」

相良さんはそんな気がしていたらしく、先日車で送ると言ったのもそれが理由だったのだという。

最近はニュースなどでストーカー化した元カレの事件をしばしば見かける。他人事ではないと相良さんは言った。

「浜名さん、しばらく俺のマンションで暮らしませんか?」

「え?」

相良さんからの提案に、私は目を瞬かせた。
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