長すぎた春に、別れを告げたら
「深夜まで自宅に帰れないのは切実な状況です。俺のマンションは2LDKで一部屋空いているので自由に使ってください。メルも浜名さんがいると喜びます。って動物をダシにするのは本当に気持ち悪いですけど」

「いえ……」

彼は如才ないから、私を気遣ってそういう言い方をしてくれているのはわかっている。

とはいえ男の人で、ましてや友人と呼べるような関係でもなく、気軽に泊めてもらえるはずはなくて返答に窮した。

もちろん彼のことは信頼のできる人だと思っている。かかわるようになったのはまだ最近だけれど、とても誠実な人だ。

「もしくは警察に相談するか」

「警察?」

「事件化してからでは遅いですから」

「……警察は避けたいです」

私と治久は大学のキャンパスで知り合ったため共通の友人が多いし、あまりおおごとにしたくはなかった。

「それならやはり一緒に暮らしましょう。浜名さんの元カレは俺たちが付き合ってると思っているし、その点でも都合がいいです。どうか少しくらい頼ってください」

相良さんはそれが最善策だと見解を述べた。

たしかに彼の言う通りなのかもしれない。

結局彼に押し切られるかたちで、私はしばらくマンションに泊めてもらうことになった。


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