長すぎた春に、別れを告げたら
その夜、相良さんが私のマンションに車で迎えにきてくれた。

部屋の前で見張ってもらい、当面の荷物を運び出す。幸い今日は治久が待ち伏せしていなかった。

「にゃ~ん」

相良さんのマンションに着くと、メルくんが玄関で歓迎してくれた。

私はメルくんの前に屈み込む。

「メルくん、久しぶりだね。しばらくお世話になるね」

「んにゃ」

いいよ、と返事したみたいで、私も相良さんも頬が緩んだ。メルくんに同居の許可はもらえたみたいだ。

「奥の部屋を使ってください」

相良さんが案内してくれた。

2LDKの一室はがらんとしていて、まったく使っていない様子だった。

先日はリビングにしか入らなかったけれど、本当に広いマンションだ。

「ありがとうございます」

「これ、弟が泊まりに来たときに買ったマットレスで、簡易的なものですが」

彼がクローゼットから三つ折りのマットレスを出した。

「十分すぎるくらいです」

清潔なシーツも用意して、寝床を整えてくれる。

「晩ごはん、まだですよね。俺が作りますよ。好き嫌いはありますか?」

運び込んだ荷物をほどこうとしていたら、相良さんに問われた。
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