長すぎた春に、別れを告げたら
相良さんは公認会計士として働きながら、ペットの世話をして、さらっと家事までこなす。

一週間も一緒に暮らすと、彼の優秀さが身に染みて伝わってきた。

「相良さん、麦茶を淹れました」

夜、リビングでタブレットを操作しながら書類をめくっていた彼にグラスを差し出した。時刻が十時を過ぎていたので、ノンカフェインのほうがいいかなと思ったのだ。

「ありがとうございます。ここの生活には慣れましたか?」

「はい、おかげさまで」

今では勝手に冷蔵庫を開けたり、キッチンを使わせてもらったりもしている。メルくんにごはんをあげる役目も任せてもらえるようになった。

「そういえば、昨夜はメルくんが一緒に寝てくれたんですよ」

なんとメルくんが自分でドアを開けて入ってきたのだ。明け方まで私の上に乗っていて、とってもかわいかった。

「メル、重かったでしょう。ドアノブにストッパーを付けましょうか」

「大丈夫です。子どもの頃に飼っていた猫も私の上で寝ていたので、懐かしい気持ちになりました」

その子も甘えん坊で手先が器用な男の子だった。
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