長すぎた春に、別れを告げたら
「離せ! 俺は萌歌の彼氏だ!」

「署で聞く」

私の彼氏だと主張する治久は、あっという間にパトカーに乗せられていった。

合鍵は返してもらったけれど治久はスペアを持っていて、それを使って入ったようだ。

本当に事件になるなんて。

「……う……っ」

心の中がぐちゃぐちゃで涙がこぼれる。相良さんはなにも言わずに抱きしめてくれた。


治久は私が相良さんのマンションで暮らしている間、ほぼ毎日のように私のマンション前で待ち伏せていたみたいだ。

侵入したのは一昨日。丸二日エアコンのついていない部屋にひそんでいたらしい。

治久は微罪処分になった。

さすがに警察沙汰になって、ようやく冷静さを取り戻したようだ。私とやり直したいあまり異常な行動を取ってしまったと、治久は反省しているという。二度と私に近づかないと誓約書を交わした。

「――おかげさまで、そういうかたちで解決しました」

後日、相良さんに電話で伝えた。

『そうですか……』

「……私、治久を許します」

心からの言葉だった。

私は治久を許す。未来の自分のために。
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