長すぎた春に、別れを告げたら
「そうですよ!」

三ノ宮さんが食い気味にうなずいた。希帆さんと雫ちゃんだけではなく、どうやら三ノ宮さんも相良さんファンのようだ。

「急に雨が降ってきたから、折り畳み傘を貸しただけです」

「あたしが貸したかった! 萌歌と一緒に残業してればよかった……!」

三ノ宮さんに説明すると、希帆さんが割り込んできて悔しそうな顔をした。

「どうでした? 相良さんと話した感想は?」

雫ちゃんも身を乗り出してくる。

「……おもしろい人、だったかも」

『濡れても溶けない』発言が頭をよぎり、笑みがこぼれた。ああいうのは、掴みどころがないとか、ミステリアスというのだろうか。

「おもしろい? クールな相良さんが?」

私以外のみんなは怪訝そうに首を捻った。

――そっか。あの人が相良さんなんだ。

たしかにかっこいい人だった。けれど見た目よりも、彼の発言のほうが印象に残っている。

その日、A:ROOMの東京オフィスは、私が一歩リードしたという話題で持ちきりだった。


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