皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい
 作業が一段落した時、意を決して立ち上がると彼のデスクへ駆け寄った。

 「あの、幸崎さん……」

 声をかけると、幸崎さんはビクッと肩を震わせた。

 「……なんだい?何かあった?」

 顔を上げたその表情は、やはりどこか困惑しているように見えた。

「今日、何か……私、幸崎さんの気分を害するようなこと、してしまいましたか……?」

 せめて声が震えてしまわないように。喉の奥から絞り出すように幸崎さんに問いかけた。彼の態度は、気のせいだと思いたかった。けれど、今日一日のことを思い返せば、そうではないことは明白だった。
 私の言葉に、幸崎さんはハッとした表情を浮かべた。そして、居心地悪そうに頬をかき、深々と頭を下げた。

「ごめん、佐倉さんのせいじゃないんだ。……変な態度をとってしまって本当に申し訳ない」
「え……」

 謝られるとは思っていなかったので、私は驚いてしまった。

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