皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい
配属されて半年が過ぎた頃、給湯室で雑談する会話を偶然聞いてしまったのだ。
「今年の新人のさくらって子、割といいよな」
「あ、営業の?」
「違うって、広報の子」
「あー、そっちかあ。あの子いいよな、営業に配属してくれればよかったのにな」
「わかる。営業の子の方はなんか地味だからな」
誰がそんな話をしていたのかはわからない。けれど、そんな風に思っている人がどこかにいる。
『望まれていない存在だ』
きっと何かの糸が切れてしまったのだろう。周囲に溶け込もうとする度に、そんな言葉が脳裏に浮かんでしまう。会話をしようと意識すればする程に一人空回りする日が続き、遂にはうまく会話ができなくなってしまった。人付き合いが上手くできないなら、せめて仕事だけは時間が掛かっても正確にしよう。その一心でここまできたけれど、恐らく周囲は無愛想で取っつきにくい新人だと思っていることだろう。
――けれど、幸崎さんはいつもそんな私にも優しかった。
「佐倉さん、何か困ったことはないかい?」
「佐倉さんの資料、いつも丁寧で助かっているよ」
わからない事があって作業の手が止まりそうな時、いつも彼は気遣いの言葉を掛けてくれる。けれどそんな彼の優しさに触れるたび、私は困惑してしまうのだった。
「今年の新人のさくらって子、割といいよな」
「あ、営業の?」
「違うって、広報の子」
「あー、そっちかあ。あの子いいよな、営業に配属してくれればよかったのにな」
「わかる。営業の子の方はなんか地味だからな」
誰がそんな話をしていたのかはわからない。けれど、そんな風に思っている人がどこかにいる。
『望まれていない存在だ』
きっと何かの糸が切れてしまったのだろう。周囲に溶け込もうとする度に、そんな言葉が脳裏に浮かんでしまう。会話をしようと意識すればする程に一人空回りする日が続き、遂にはうまく会話ができなくなってしまった。人付き合いが上手くできないなら、せめて仕事だけは時間が掛かっても正確にしよう。その一心でここまできたけれど、恐らく周囲は無愛想で取っつきにくい新人だと思っていることだろう。
――けれど、幸崎さんはいつもそんな私にも優しかった。
「佐倉さん、何か困ったことはないかい?」
「佐倉さんの資料、いつも丁寧で助かっているよ」
わからない事があって作業の手が止まりそうな時、いつも彼は気遣いの言葉を掛けてくれる。けれどそんな彼の優しさに触れるたび、私は困惑してしまうのだった。