冷徹御曹司は誤解を愛に変えるまで離さない
第十四章 揺らぐ確信
それは、取引先との大型契約の打ち合わせが終わった帰り道だった。
私は会社の車で駅まで送ってもらい、そこから自宅へ向かうつもりだった。
──だが、駅前の交差点で、突然ブレーキ音と怒号が響いた。
「危ない!」
視界の端から、猛スピードのバイクが突っ込んでくる。
咄嗟に身を引こうとした瞬間、強い腕が私を抱き寄せた。
「っ──!」
衝撃は来なかった。
目を開けると、私をかばうように抱き締めた颯真の顔が目の前にあった。
すぐそばで感じる荒い息。
バイクは転倒し、周囲がざわめいている。
「……大丈夫か」
低く震える声。
いつもの冷静さは微塵もなく、ただ必死に私を確かめるような眼差し。
「ど、どうして……ここに」
「お前が外出すると聞いたから、念のため来た。……間に合ってよかった」
腕の力がさらに強くなる。
まるで、この世で一番大切なものを失うのを恐れているかのように。
「颯真……?」
「二度と、こんな目に遭わせない」
その言葉は真剣で、疑いようのない熱を帯びていた。
──やっぱり、この人は私を……。
胸の奥で、確信に似た感情が芽生えかける。
しかし、その夜。
屋敷に戻ると、颯真はいつも通りの無表情に戻っていた。
「……ケガはないな」
「ええ」
「ならいい。……あとは休め」
それだけを告げ、背を向ける。
昼間のあの熱は、幻だったのか。
また心の奥に、不安と迷いが広がっていく。
──信じたいのに、信じきれない。
この壁は、いつになったら壊せるのだろう。
私は会社の車で駅まで送ってもらい、そこから自宅へ向かうつもりだった。
──だが、駅前の交差点で、突然ブレーキ音と怒号が響いた。
「危ない!」
視界の端から、猛スピードのバイクが突っ込んでくる。
咄嗟に身を引こうとした瞬間、強い腕が私を抱き寄せた。
「っ──!」
衝撃は来なかった。
目を開けると、私をかばうように抱き締めた颯真の顔が目の前にあった。
すぐそばで感じる荒い息。
バイクは転倒し、周囲がざわめいている。
「……大丈夫か」
低く震える声。
いつもの冷静さは微塵もなく、ただ必死に私を確かめるような眼差し。
「ど、どうして……ここに」
「お前が外出すると聞いたから、念のため来た。……間に合ってよかった」
腕の力がさらに強くなる。
まるで、この世で一番大切なものを失うのを恐れているかのように。
「颯真……?」
「二度と、こんな目に遭わせない」
その言葉は真剣で、疑いようのない熱を帯びていた。
──やっぱり、この人は私を……。
胸の奥で、確信に似た感情が芽生えかける。
しかし、その夜。
屋敷に戻ると、颯真はいつも通りの無表情に戻っていた。
「……ケガはないな」
「ええ」
「ならいい。……あとは休め」
それだけを告げ、背を向ける。
昼間のあの熱は、幻だったのか。
また心の奥に、不安と迷いが広がっていく。
──信じたいのに、信じきれない。
この壁は、いつになったら壊せるのだろう。