臆病なあなたの、不完全な愛し方
伊山の期待に応えるべく、真奈美はクラウドの無法地帯を秩序ある整然とした空間に作り変えた。
作業の過程ですべてのファイルの中身を確認したが、その内容とクオリティに、やはり伊山の実力とセンスを感じずにはいられなかった。
どの商品も、伊山の綿密な計算によって最大限の価値を引き出されており、それでいて無駄なコストがかかっていない。
商品が世に出されるまでのすべての工程が一つの美しい流れとなって見えた。
ある種、芸術作品のようだと真奈美は感じた。
「クラウドに秩序が生まれてる!」
感嘆する伊山の声が、ディスプレイの向こう側から聞こえた。
真奈美は、ちょうどいい機会だと思い、伊山のデスクに行った。
「喜んでもらえてよかったです。ディスプレイを覗いても?」
「ああ、いいよ」
真奈美は伊山の横に移動し、ディスプレイを指差しながらいくつか質問した。
質問と回答のラリーがテンポよく行われたあと、ふと真奈美が伊山の方を見ると、少し強張った表情をしていた。
「どうかしました?」
「いや、あまりの仕事の速さに驚いてただけ」
真奈美が身を起こし、少し距離を置いて立つと、短く息をはいた伊山の表情がやわらいだ。
「ありがとうございます。私も、伊山さんの努力の結晶たちを見て驚きました」
伊山が真奈美を見上げ、続きを期待するような目で見た。
「さすが伊山さんですね。どのデザインも商品の魅力を最大限引き出してますし、プロモーション戦略も、一本の映画のように緻密で無駄のない美しい流れになっていて……これは売れるだろうなって思いました」
「ありがとう」と、伊山は嬉しそうに笑った。
「トータルプロデュースは伊山さんの天職ですね」
「俺もそう思う」
しばし沈黙し、真奈美は言葉を探した。
「星野?」
「……これまでは伊山さんに助けてもらってばかりでしたけど、これからは私が伊山さんを支えますね」
伊山が面食らった顔で真奈美を見つめた。
こんな伊山の表情も初めてで、真奈美は微笑まずにはいられなかった。
「主に、事務処理面で」
「ああ……それは助かる」
呆然とした様子の伊山に背を向け、真奈美は意気揚々と自席に戻った。
作業の過程ですべてのファイルの中身を確認したが、その内容とクオリティに、やはり伊山の実力とセンスを感じずにはいられなかった。
どの商品も、伊山の綿密な計算によって最大限の価値を引き出されており、それでいて無駄なコストがかかっていない。
商品が世に出されるまでのすべての工程が一つの美しい流れとなって見えた。
ある種、芸術作品のようだと真奈美は感じた。
「クラウドに秩序が生まれてる!」
感嘆する伊山の声が、ディスプレイの向こう側から聞こえた。
真奈美は、ちょうどいい機会だと思い、伊山のデスクに行った。
「喜んでもらえてよかったです。ディスプレイを覗いても?」
「ああ、いいよ」
真奈美は伊山の横に移動し、ディスプレイを指差しながらいくつか質問した。
質問と回答のラリーがテンポよく行われたあと、ふと真奈美が伊山の方を見ると、少し強張った表情をしていた。
「どうかしました?」
「いや、あまりの仕事の速さに驚いてただけ」
真奈美が身を起こし、少し距離を置いて立つと、短く息をはいた伊山の表情がやわらいだ。
「ありがとうございます。私も、伊山さんの努力の結晶たちを見て驚きました」
伊山が真奈美を見上げ、続きを期待するような目で見た。
「さすが伊山さんですね。どのデザインも商品の魅力を最大限引き出してますし、プロモーション戦略も、一本の映画のように緻密で無駄のない美しい流れになっていて……これは売れるだろうなって思いました」
「ありがとう」と、伊山は嬉しそうに笑った。
「トータルプロデュースは伊山さんの天職ですね」
「俺もそう思う」
しばし沈黙し、真奈美は言葉を探した。
「星野?」
「……これまでは伊山さんに助けてもらってばかりでしたけど、これからは私が伊山さんを支えますね」
伊山が面食らった顔で真奈美を見つめた。
こんな伊山の表情も初めてで、真奈美は微笑まずにはいられなかった。
「主に、事務処理面で」
「ああ……それは助かる」
呆然とした様子の伊山に背を向け、真奈美は意気揚々と自席に戻った。