野いちご源氏物語 三六 横笛(よこぶえ)
大将(たいしょう)様は夢のことをお考えになる。
厄介(やっかい)な笛を預かってしまったな。(ゆず)りたい相手について衛門(えもん)(かみ)には特別な考えがあったようだが、御息所(みやすんどころ)はご存じなかったのだろう。死ぬ間際(まぎわ)の願いが(かな)わないとあの世で苦しむという。それで衛門の督は私の夢に現れて何か伝えようとしたのかもしれない>
お寺の僧侶(そうりょ)に依頼して、衛門の督様のためにお(きょう)を読ませなさる。

<いっそのこと寺に寄付(きふ)してしまえば丸く収まるだろうが、せっかく御息所がくださったものを簡単に手放すのはよくない>
笛を持って六条の院へ行ってみようと思いつきなさった。
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