優しいkissじゃダメですか。
思わずお国言葉が出てしまったが気にしていられない。課長はぽかんとしている。
「なんでバレエやめはったんですか!? もったいない」
「私の人生を生きるため」
「!!」
課長は、ふわふわとほほ笑んでいた。水道橋のネオンサインを背にして。
(綺麗だ)
そうか。なぜ課長がいつもニコニコしているのかわかった。優しいからだけじゃない。誠実だからだけじゃない。
ひかえめだからだけじゃない。好きな仕事をしているから。
(それでも、苦しんで苦しんで笑顔をなくしたり、辞めてしまうひとも多いのに)
強い。
課長は強い。強くて綺麗だ。しなやかで綺麗だ。
「イチゴ牛乳飲んでみたくて」
「……」
私は課長の顔を見た。課長は照れくさそうにふくふく笑っていた。
「す、好きなだけ飲んだら良いと思います……」
(良い話かと思ったらそうじゃなかった!!)
だまされた気分になりながら私は課長のふくふく笑顔を見る。
(ん? 待って。バレエ習ってる最中はダイエットダイエットで、イチゴ牛乳なんて飲めるはずもないから)
「課長の初イチゴ牛乳って、いつでしたか?」
「中学の卒業式です。美味しかったなぁ。
世の中にこんなに美味しい飲み物があるなんて知りませんでした」
「……」
「なんでバレエやめはったんですか!? もったいない」
「私の人生を生きるため」
「!!」
課長は、ふわふわとほほ笑んでいた。水道橋のネオンサインを背にして。
(綺麗だ)
そうか。なぜ課長がいつもニコニコしているのかわかった。優しいからだけじゃない。誠実だからだけじゃない。
ひかえめだからだけじゃない。好きな仕事をしているから。
(それでも、苦しんで苦しんで笑顔をなくしたり、辞めてしまうひとも多いのに)
強い。
課長は強い。強くて綺麗だ。しなやかで綺麗だ。
「イチゴ牛乳飲んでみたくて」
「……」
私は課長の顔を見た。課長は照れくさそうにふくふく笑っていた。
「す、好きなだけ飲んだら良いと思います……」
(良い話かと思ったらそうじゃなかった!!)
だまされた気分になりながら私は課長のふくふく笑顔を見る。
(ん? 待って。バレエ習ってる最中はダイエットダイエットで、イチゴ牛乳なんて飲めるはずもないから)
「課長の初イチゴ牛乳って、いつでしたか?」
「中学の卒業式です。美味しかったなぁ。
世の中にこんなに美味しい飲み物があるなんて知りませんでした」
「……」