優しいkissじゃダメですか。
「正直にお話ししていただいたので、飲み物をひとつ差し上げます。何が良いですか」
「え」
課長がポケットからスマートフォンを出す。仕事用のものではないからきっとプライベート用だろう。
「え、いや、そんな」
「上司の言うことにはのんびりと従うものですよ」
「のんびり……」
なんだか、急にイチゴ牛乳を飲みたくなった。
素直にそう言ったら、ご褒美のように課長がふわっと笑ってくれた。
癒されるなぁ。本当にこのひと。一家に一台欲しい。生きる空気清浄機かアロマポットみたい。
(ただ、向かい合ってイチゴ牛乳を飲んでるだけなのに)
疲れた身体のすみずみまで染みわたる冷たいイチゴ牛乳。脳に栄養を与える甘さ。ハマりそう。(あなたに)
「そんなに見つめないでください」
「え、あ」
「愛おしく思ってしまう」
「え」
ふわふわ笑っている課長の指が、すっと私のアゴに触れた。
「優しいキスじゃダメですか」
(ずるいよ。そんな言い方……)
課長の目が、彼の黒く丸い目が、たっぷりとした甘さをふくんで私を見つめてくれる。「全身全霊で癒します」感が強い。
「優しい人間じゃダメですか」
「ダメ、じゃ、ないです……」
(ただ、
推しを裏切っている背徳感がすごい!! って言うか、
私、推しを裏切ってるの!? それとも課長を裏切ってるの!? わかんない!!)
優しく唇が触れた。ひとつ、ふたつ、みっつ。
可愛がられるように唇で唇を包まれ、舌先で軽く入り口をノックされた。
(わ、わたしのファーストキス……)
愛おしい、愛おしい、可愛い、可愛い、大好き、好きだよ。愛してる。
そのどの言葉よりも雄弁な、あたたかい気持ちのたっぷりこもったキスだ -
(彼の恋のフレイヴァーを知る。全身が溶けそうなくらいに甘い。そして少し切ない)
全身の力が抜けた。
「え」
課長がポケットからスマートフォンを出す。仕事用のものではないからきっとプライベート用だろう。
「え、いや、そんな」
「上司の言うことにはのんびりと従うものですよ」
「のんびり……」
なんだか、急にイチゴ牛乳を飲みたくなった。
素直にそう言ったら、ご褒美のように課長がふわっと笑ってくれた。
癒されるなぁ。本当にこのひと。一家に一台欲しい。生きる空気清浄機かアロマポットみたい。
(ただ、向かい合ってイチゴ牛乳を飲んでるだけなのに)
疲れた身体のすみずみまで染みわたる冷たいイチゴ牛乳。脳に栄養を与える甘さ。ハマりそう。(あなたに)
「そんなに見つめないでください」
「え、あ」
「愛おしく思ってしまう」
「え」
ふわふわ笑っている課長の指が、すっと私のアゴに触れた。
「優しいキスじゃダメですか」
(ずるいよ。そんな言い方……)
課長の目が、彼の黒く丸い目が、たっぷりとした甘さをふくんで私を見つめてくれる。「全身全霊で癒します」感が強い。
「優しい人間じゃダメですか」
「ダメ、じゃ、ないです……」
(ただ、
推しを裏切っている背徳感がすごい!! って言うか、
私、推しを裏切ってるの!? それとも課長を裏切ってるの!? わかんない!!)
優しく唇が触れた。ひとつ、ふたつ、みっつ。
可愛がられるように唇で唇を包まれ、舌先で軽く入り口をノックされた。
(わ、わたしのファーストキス……)
愛おしい、愛おしい、可愛い、可愛い、大好き、好きだよ。愛してる。
そのどの言葉よりも雄弁な、あたたかい気持ちのたっぷりこもったキスだ -
(彼の恋のフレイヴァーを知る。全身が溶けそうなくらいに甘い。そして少し切ない)
全身の力が抜けた。