東雲家の御曹司は、わさびちゃんと新婚蜜月中

side kiito

 
 
 その夜───……
 
「なぁ、わさび」
 
「……ふぁい」
 
 彼女の身体をほぐし、後は己を挿入するのみとなった時、俺は避妊具に伸ばした手を思わず止めていた。
 
「今日はそのままいいか?」
 
「赤ちゃん、できない日ですか? ──っん……」
 
 この会話で彼女の蜜が乾かないように、俺は彼女をほぐし続ける。
 
「キラのアプリによればな」
 
 ストーカーアプリとは別に、俺はキラにすすめられてわさびの生理日管理アプリをダウンロードし、かれこれ半年以上になる。
 
「それならいいですっ───ひゃっ……ん……」
 
 わさびいわく、お帽子(・・・)を被せず、俺は彼女のナカにゆっくりと先を埋め込んでいく。
 
 挙式を終えて以来、こうして度々子作りの予行練習と称して避妊せずにことに及んでいた。内心、思いがけず出来てもいいかな、なんて考えながら彼女のナカで精を放っている。
 わさびもわさびで、ナカの感度がよほどいいのか、吐精の瞬間などがわかるようで、気持ちがいい、と喜んでいる。
 そんな日は決まって───……
 
「紀糸、もっかい」
 
「ああ、もっかいな(チュッ)」
 
 ぎゅっと俺にしがみつき、可愛く追加のおねだりがくるのだ。
 
 
 指先が肌をなぞるたび、彼女の身体は仰け反り震える。
 キスをせがむように俺の鼻や唇に歯を立てるわさびのそれは、言葉よりも確かな「好き」の証。
 俺達の呼吸は重なり、溶けていく。時間はゆっくりと、内側へ沈んでいく。
 
 これまでに何度彼女を抱いたかわからないが、抱けばいつも自分の心は満たされた。
 わさびというわがままな生き物を自分のものにしているという征服感に似た何かが、脳内を埋め尽くすのだ。
 だがそれは長くは続かない。すぐに枯渇して、また彼女が欲しくなる。
 まるで麻薬のような存在に、翻弄されていると頭では理解していながらも、毎晩わさびの身体を求めてしまう自分が、信じられなかった。
 
 俺の腕の中で、彼女は確実にほどけていく。彼女のまなざしに、俺は魂ごと持っていかれる。
 
 
「わさび、いいか?」
 
「っ……はい、すごく気持ちがいいです……っ奥の方をもっとツンツンしてくださいっ」
 
「こう、か?」
 
「───っ! んっ……っ」
 
 そのひと突きで、彼女は身体をビクンビクンと弾けさせた。
 俺にしがみ付き、肩を甘噛みする。
 
 ───はぁ……可愛い。普段はあの調子なのに、夜はこれって……
 
 
「わさび、もう一回か?」
 
「……もう、眠いです───あとは頼みました……」
 
「……え」
 
 彼女だけ先に何度も果てさせてしまったせいか、真っ最中に突然寝ようとする俺の妻。
 本気で眠ってしまわぬうちにと、慌てて抽挿を再開し、彼女を揺さぶり起こす。
 甘い声を漏らしてはいるが、身体はふにゃふにゃだ。
 
 俺はそんなわさびの身体を抱き留め、何とか自分も最後まで終えた。
 
 
 ───わさび、“おかわりをしたら、残してはいけません”!!
 
 
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