東雲家の御曹司は、わさびちゃんと新婚蜜月中
 
 
「───っと、いう事がありました」
 
 紀糸は一週間ほどで戻ってきた。明日からは、在宅でリモートでの勤務となる。
 恒例の夫婦のお風呂タイムで、山葵は紀糸に一週間の出来事を報告する。
 
「樋浦氏とわさびのべったり相依存に関しては、俺と弟さんは気が合いそうだな」
 
「……」
 
 広い湯船の中、紀糸に背を向けて、彼の長い脚の間にちょこんとしゃがむ山葵。
  
「紀糸はわさびの夫として、圭介に感謝すべきです」
 
 先ほどの紀糸のセリフが少し面白くない山葵は、指で水鉄砲をつくり、紀糸に向けて発射するも、サッとかわされてしまう。
 
「まぁ、それは間違いないな。彼がいなかったら、俺の愛する妻は馬房で眠ったり、髪の毛は生乾きでボサボサだろうし、下手すれば風邪をひいてる」
 
「わかっているではないですか───ッブフ……」
 
 もう一発発射したが、自分にお湯が命中してしまい、山葵は吹き出す。
 
「っくくく……イタズラするから罰が当たったんだぞ」
 
 紀糸にとって、その行動すべてが可愛くて仕方ないわさびを、ギュッと背後から抱きしめる。
 
 ───この可愛い生き物は俺のだ……
  
「わさびは、俺がいないと生きていけないんだもんな(チュッ)」
 
 濡れた髪と色づく肌がなんとも艶っぽい山葵のうなじに、チュッと吸い付く。
 
「紀糸、わさびのおしりに何かが当たってます。疲れマラ、というやつですか?」
 
「……どこの誰がそんな言葉をお前に教えたんだ」
 
 ───まぁ、杏奈ちゃんから借りた漫画だろうが……
  
「そのとおりです。紀糸も一週間お疲れ様でした」
 
 山葵は紀糸に寄りかかっていた自分の身体を起こし、向かい合うように彼の上に座りなおした。積極的な妻の行動に、紀糸は思わず口角を片方上げる。
 
「ああ、ひと月ずっとわさびといたから、夜一人でマンションに帰ると変な感じがした」
 
 紀糸の首の後ろに腕を回し、ぎゅっと抱きつく山葵。彼女の柔らかな胸が肌に押し付けられ、紀糸の“疲れマラ”はより嵩を増す。
 
「それは、寂しいという感情ですか?」
 
「そうだろうな」
 
 どちらかともなく、重なる唇。軽く触れ、離れたあとに残る熱が、ふたりの距離をもう一度引き寄せる。次のキスは、少しだけ長く。
 会えなかった数日の距離を埋めるように、お互いの存在を確かめるように、唇は深く重なり、呼吸の間隔がゆっくりと変わっていく。
 言葉のいらない会話が、唇の温度で交わされる。
 紀糸の指はそっと彼女の秘部にをなぞり、湯の中でもわかるほどの蜜を確認した。
 
「わさびも一人で寝るのは寒かったです」
 
「俺は湯たんぽか」
 
 彼の昂りの先が自身のナカに埋まり、少しずつ腰を前に進めていく山葵。
 
「───ん……っ」
 
「わさび……もう少しだ、おいで。疲れてるオレ(・・)を全部、お前のナカで包み込んでくれ」
 
 そう言いつつも、じれったくなった紀糸は彼女の尻を掴み、一気に引き寄せる。その全てを埋め込んだ。
 
「っふ……ぁ……」
 
「っ───」
 
 
  
 結局今夜も二人は、ベッドまで我慢できずに風呂の中で一戦交えるのだった。
 
 
 
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