東雲家の御曹司は、わさびちゃんと新婚蜜月中

side

 
 
「わさび、お前仕事は?」
 
「今日は紀糸と一緒にいます」
 
 ハネムーンから戻り一週間……つまり七日間、東京と北海道とで離れていた俺達夫婦は、再会するやいなや風呂で愛を確かめ合い、その後も熱は冷めず、ベッドでも求め合った後に眠りについた。
 
 そして今朝───……
 流石に疲れがたまっていたのか、山葵を抱き締めたまま眠っていた俺は、目が覚めた時はすでに朝九時を過ぎていた。
 
 俺の腕の中ではまだ山葵が眠っている。
 
 仕事の日はいつも、支度を済ませて七時には朝食を食べに行く彼女は、そのまま八時過ぎに出社するのだが……これでは完全に遅刻ではないか。
 
 寝起きのまどろみの中、まだ夢と現の境目にいる彼女の頬に、そっと唇を寄せた。
 
 そしてそのまま彼女の耳元で、仕事は、と尋ねれば、俺といる、などと可愛い言葉が返ってくるではないか。あまりに自分にとって都合のいいその返事に、俺は思わず朝から気分が上がる。
 
 そんな俺をよそに、山葵は目を閉じたまま、微かに息を吸い込む。まるで、俺の存在を、そのぬくもりを確かめるようにギュッとしがみついてきた。
 
 ───……もう、どうしてくれようか、この可愛い生き物……
 
 もう一度、今度は唇に触れる。彼女の指先が、グッと俺の背中に爪を立てる。
 その仕草に導かれるように、キスはゆっくりと深くなっていく。言葉も時計の針も遠ざかり、ただ、ふたりの呼吸だけが、静かに重なっていた。
 吐く息と吸う息のあいだに、互いの唇がもう一度相手の唇を探す。ためらいなく、まるで昨夜の続きをと言わんばかりにゆっくりと、深く、重なっていく。
 
 山葵の長く濃いまつげがかすかに震え、目を開ける代わりに、唇で応えていた。
 シーツの上で絡まる肌と肌。眠りと目覚めの境界線が、俺達の体温で溶けていく。
 
「っ──わさび……」
 
 愛する妻の名前を呼べば、かすかに反応が返ってきた。
 
「ふぁぃ……」
 
 両手を重ね合わせ、すべての指を絡めとり、俺は彼女を下にし身体を寄せる。
 
 昨夜の余韻が残る彼女の秘部にそっと指を這わせ、潤いを確かめると、太ももを持ち上げ、そのままゆっくりと腰を押し進めていく。
 
 静かに、確実に呼吸を乱れさせる彼女がなんともいじらしい。
 
「わさび、可愛い───……」
 
 俺だけが知る、艶っぽいわさび。こんなにも素直で可愛いわさび。
 
 ───よし、今日は二人で一日オフだ。
 
 そんなことを考えながら、俺は遠慮なく腰を打ちつけ彼女のなかに精を放つ。
 
 
 
「わさび、今日は二人でゆっくりしような」 
 
 誰にも邪魔されず、自宅でゆっくり過ごすことが何より好きな俺は、彼女を抱き締め、甘く囁いた。今朝は、ものすごく気分がいい。
 
 しかし……
 
「駄目です。今日は紀糸に大介を紹介します。その自慢の長い脚を見せてやってください」
 
「……」
 
 
 ───……まぁ、そうだよな。そうなるよな。わさびはこうでなくっちゃな……
 
  
 
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