一夜から始まる、不器用な魔術師の溺愛
「ああ……熱い……」
力が抜け、私は彼にしがみつくことしかできなかった。
ぐったりと私の上に倒れ込んだロイの体温と重みが、妙に心地よくて——
初めての夜は、静かな余韻だけを残して終わった。
ロイは私を抱き寄せ、腕枕をしてくれていた。
「……あの」
「何?」
言うべきか迷ったけれど、さっきの熱を思い出すと胸がざわつく。
絶対、子種を注がれた。
「……子供、できたら?」
震える声で問うと、ロイは一瞬きょとんとして——そしてクスクスと笑った。
「それはそれで……俺達、運命共同体になるね。」
笑ってる。
私は真剣なのに。
「大丈夫、一度じゃできないよ。」
気楽そうな声色は、なぜか遊び人の響きに聞こえて胸がざらついた。
やがて夜が明け、静かな早朝の空気の中で、私達はあっさりと別れた。
「……またどこかで。」
そう言い残して背を向けたロイの姿が、胸の奥に焼き付いた。
名前と温もりだけを残して。
私の初めての恋とも知らずに——。
力が抜け、私は彼にしがみつくことしかできなかった。
ぐったりと私の上に倒れ込んだロイの体温と重みが、妙に心地よくて——
初めての夜は、静かな余韻だけを残して終わった。
ロイは私を抱き寄せ、腕枕をしてくれていた。
「……あの」
「何?」
言うべきか迷ったけれど、さっきの熱を思い出すと胸がざわつく。
絶対、子種を注がれた。
「……子供、できたら?」
震える声で問うと、ロイは一瞬きょとんとして——そしてクスクスと笑った。
「それはそれで……俺達、運命共同体になるね。」
笑ってる。
私は真剣なのに。
「大丈夫、一度じゃできないよ。」
気楽そうな声色は、なぜか遊び人の響きに聞こえて胸がざらついた。
やがて夜が明け、静かな早朝の空気の中で、私達はあっさりと別れた。
「……またどこかで。」
そう言い残して背を向けたロイの姿が、胸の奥に焼き付いた。
名前と温もりだけを残して。
私の初めての恋とも知らずに——。


