街角の契りは、永遠の愛に
「話を聞こう。」

低い声と共に馬車の扉が開いた。

中を覗くと、豪奢な内装と、威圧感を放つ男性の姿があった。

黒髪を後ろで束ね、正装に身を包んだその人は、どう見ても高貴な身分にしか見えない。

「……あの……」

声が震える。逃げ出したいのに、母の顔が脳裏をよぎる。

「初めて体を売ると言ったな。理由を聞こう。」

その瞳に射抜かれ、私はごまかすことなどできなかった。

正直に言えば、高く買ってもらえるかもしれない――そう思ったからだ。

「母が……病気なんです。薬代を稼ぎたいんです。」

唇を噛みしめ、搾り出すように告げた。

一瞬、彼の瞳が柔らかく揺らいだ気がした。

大きな手が伸び、私の頬にそっと触れる。思わず震える私に、低く響く声が落ちた。

「……俺が買おう。」

その言葉は、冷たさではなく、妙な温かみを含んでいた。

御者の手綱が鳴り、馬車は小道へと進んでいく。
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