この恋、予定外すぎて困ってます
夏休みに入って、急だったけど思い付きで涼ちゃんを夏祭りに誘った。
「えっ?」って、かなり困惑してたけど。
浴衣姿の涼ちゃんは、いつにもまして綺麗だった。
髪をまとめて、うなじがちらっと見えて浴衣の柄も涼ちゃんらしくて。
俺は、何回も目を逸らしそうになった。
でも、涼ちゃんは気づいてなかった。
通り過ぎる男どもが、チラチラ涼ちゃんを見てることに。
そのたびに、俺は睨み返した。
「見るなよ」って、心の中で何度も言った。
なんか、誰にも見せたくなかった。
この涼ちゃんは、俺だけが知ってればいい。
…いや、兄として、ね?
涼ちゃんが、「学校の人にばれるかも」って不安そうに言った。
俺は、何でもない風に答えた。
「ばれてもいいでしょ別に。やましいことないし、兄妹なんだから」
それは、本音だった。
でも――
涼ちゃんは、少しだけ目を伏せて言った。