この恋、予定外すぎて困ってます
「好きってなんだっけ」
ぽつりとこぼした言葉に、大智が呆れたように眉をひそめる。
「晴人…ガキみたいなこと言ってんな」
……言われなくても分かってる。
でも、しょうがないだろ。
そんな気持ち、とっくの昔に捨てたし。
なのに。
「とりあえず、キスでもしてみたら?」
大智が、さらっと言う。
「は?」
思わず声が裏返る。
「他の人とは違うかもよ」
そう言って、大智は立ち上がる。
「俺もバレーしてくるわ」 そう言い残して、涼ちゃんのいる方へ歩いていった。
……キス? 涼ちゃんに?俺が?
いやいや、そんなことしたら余計に―― いや、待て。
俺って結局、嫌われたいのか、嫌われたくないのか、どっち?
涼ちゃんが俺を嫌いになってくれたら、楽になる。
でも、涼ちゃんが笑ってくれると、嬉しくなる。
その矛盾が、胸の奥でぐるぐる回ってる。