この恋、予定外すぎて困ってます
その姿を見た瞬間、 心底思った。
――消えてほしい。
なんでお前が泣いてるんだよ。
泣きたいのは、 父さんと俺だろ。
裏切られて、踏みにじられて、それでも黙って耐えてきたのは俺たちなのに。
母さんの涙は、何もかもを汚して見えた。
離婚して、あの女がいなくなってせいせいした。
家は静かになった。
でも、俺の心は相変わらず荒れたままだった。
誰かを信じることが怖くて、誰かに期待することができなくて。
笑ってる人を見ると、その裏が気になってしまう。
優しくされると、何か企んでるんじゃないかって思ってしまう。
そんな自分が、嫌だった。
でも、どうしようもなかった。
心の中に、ずっと黒い波が渦巻いていた。
毎日喧嘩して、拳を振り回して、誰にも期待しないようにしてた。
そんな時だった。
「晴人くんだよね?毎日喧嘩してるって噂聞いたんだけど…」
声をかけてきたのは、見たことない女の子だった。