牧師の息子のエリート医師は、歳下医学生に理性が効かないほど夢中です。(旧題:桜吹雪が舞う夜に)
そっと触れた瞬間、彼女の身体がぴくりと強張った。
その反応に思わず手を止める。
「……大丈夫か」
「……はい。続けてください」
震える声の奥に、はっきりとした覚悟があった。
細い腕が背中に縋りつき、爪がかすかに食い込む。拒絶ではない。ただ、頼りたいという意思だった。
「……分かった」
低く呟き、彼女の髪を撫でる。
痛みに顔を歪めながらも、桜は涙をにじませた瞳でこちらを見上げてくる。
その表情に、胸が締めつけられる。
「……力を抜いて。そうじゃないと、余計に苦しいだけだ」
諭すように囁くと、彼女は小さく頷き、ぎゅっと抱きしめてきた。
その仕草に、熱が堰を切ったようにあふれ出す。
――一回目とは違う。
痛みに耐えるだけではなく、必死に受け入れようとしている。
その勇気が、愛おしくてたまらなかった。
「……いい子だ。もう少しだけ、俺を信じて」
低く濡れた声でそう告げると、桜は震えながらもさらに強く抱きついてきた。