牧師の息子のエリート医師は、歳下医学生に理性が効かないほど夢中です。(旧題:桜吹雪が舞う夜に)


深く抱き寄せたまま、彼女の呼吸が落ち着くのを待った。
肩口にかかる息は荒く、震えもまだ残っている。
けれど、やがてその震えが少しずつやわらぎ、背に回された腕が緩む。

「……もう少し、続けてもいいか」
問いかけると、小さな声で「……はい」と返ってきた。
その一言に、胸の奥が強く揺れる。

触れ合うたび、彼女が小さく声を洩らす。
痛みに顔をしかめていたはずなのに、その吐息の端にかすかな熱が混じっている。
その変化に気づいた瞬間、胸が焼けるように熱くなる。

「……大丈夫だ。無理はさせない」
囁きながら、彼女の反応を確かめるように動きを重ねる。

やがて彼女の表情は、痛みに耐えるだけのものから、赤く火照って息を乱すものへと変わっていった。
苦しさの奥に、確かに甘美な影が差している。
それを見逃すことはできなかった。


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