鳥籠の中
鳥籠
朝起きると、そこにはいつもと変わらない光景が広がっていた。
あぁ、またここ……
これが夢だったらいいのに、そう何度願ったことか……
「あっ、起きたんだね。初奈」
落胆しながら何とかベットから起き上がったところで、声がした。
この世で最も嫌いな男の声が……
「時雨……」
暗い瞳をしながら扉の方に目を向けると、そこには幼馴染みだった男が立っていた。
「朝ごはん、できたよ。一緒に食べよう?」
「いらない。時雨1人で食べたら?」
「初奈ったらいつもそう言うよね。ご飯食べないと、いつか倒れちゃうよ」
「別にそうなっても私は構わない」
むしろ、そうなった方がいいとさえ思ってしまう。
時雨から逃れることができるなら──。
「駄目だよ。初奈が倒れるなんてことになったら、僕はこの世を恨んじゃう」
にこりと笑ってはいるけど、瞳には狂気が滲んでいた。
あぁ、本当にこいつは狂ってる……
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