鳥籠の中


「ねぇ、いつまでここに閉じ込める気なの?」


言ってから、愚かな問いかけをしてしまったと気づく。


こいつの答えは分かりきってる。


「もちろん一生、だよ」


きっと私は時雨から逃れることができないのだろう。


それこそ一生。


もし私が逃げようとでもしたら、恐らく今よりも監禁が酷くなる。


それが分かるくらいにはこいつのことを監禁されてから嫌でも知ることになった。


「初奈、愛してるよ。君のことが初めて会った時から好きで好きでたまらなかった。ようやく手に入れることができたんだ。逃げようとは思わないでね?」


私の考えを見透かしたように微笑む。


此処はまるで鳥籠のよう。


私は鳥で、この家全体が鳥籠。


外に出たくても出ることのできない。


私はずっとこの男の重たい愛を受け続けるしかないんだ……


そう思ったら苦痛で、瞳がドロリと濁ったような気がした。




fin




< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

地味子ちゃんはイケメン男子に寵愛されて
有栖華/著

総文字数/39,346

恋愛(逆ハー)104ページ

表紙を見る
危険な彼に焦がれて
有栖華/著

総文字数/25,327

恋愛(キケン・ダーク)70ページ

表紙を見る
番外編集 ―イケメン男子に愛されまくり―
有栖華/著

総文字数/4,348

恋愛(その他)12ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop