社長、社内恋愛は禁止のはずですが
少し不思議そうに首をかしげる社長。

「だって……女遊びをするタイプじゃないって。社長が言うと、なんだかおかしくて。」

そう言った途端、ぐっと抱き寄せられた。

硬くも温かい胸板に押しつけられて、心臓が跳ね上がる。

「君は分かってないな。俺のことを。」

低く囁かれる声が、耳の奥まで響いた。

「そうですか?」

見上げると、社長の顔はいつになく柔らかく微笑んでいた。

「今だって――遥香しか見えない。」

真っ直ぐな瞳が私を捕らえて離さない。その真剣さに、思わず息を呑んだ。

こんなにも強く、真っ直ぐに想われているなんて。

「……嬉しいです。」

小さな声で答えながら、私はその腕の中にすっぽりと収まった。

夜景の輝きよりも、彼の体温の方がずっと眩しくて、私は今、酔いしれてしまいそうだった。
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