社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「もうダメだ。俺がどんなに遥香を想っているのか、分からせる必要がある。」

低く熱を帯びた声に、体が震える。

「えっ……」

次の瞬間、社長の腕が私の腰を強く引き寄せた。

「今夜、君を抱く。いいね。」

かぁーっと顔が一気に赤くなる。

その瞳には迷いがなく、ただ真剣な熱だけが宿っていた。

「返事は?」

促され、逃げ場なんてどこにもない。

「……はい。」

小さく頷いた瞬間、社長の目がさらに深く輝いた。

「よし。」

彼は私の肩を抱いたまま、バルコニーを後にする。

――この先に待っているのは、想像するだけで胸が張り裂けそうな夜。

「直哉君。」

その時、会場から声が掛かる。

社長の腕が名残惜しそうに離れた。

「遥香、先に会場を抜けて。」

「……はい。」
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