社長、社内恋愛は禁止のはずですが
私は小さく頷き、そっと人の目を避けるように社長から離れた。

鼓動は速くなる一方で、もう自分では抑えられなかった。

会場を抜け出して、少し安堵の息をついたその時だった。

「ちょっと、そこのあなた。」

背後から冷たい声がして、思わず振り返る。

立っていたのは――さきほど直哉さんに声を掛けていたご令嬢たち。

宝石のように着飾った姿のまま、鋭い視線を私に向けてきた。

「秘書かパートナーか分からないけれど、直哉さんを独占するのはやめてもらえる?」

「えっ……」

声が震えた。けれど彼女たちは構わず距離を詰めてくる。

「私たちはずっと直哉さんの側にいたのよ。人脈も、付き合いも、全部知っている。」

「あなたみたいな人が入れる場所じゃないの。」

――これは、ただの噂や陰口なんかじゃない。
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