社長、社内恋愛は禁止のはずですが
そのたびに心は安堵と熱に満たされ、もう抜け出せなくなっていた。

チン、と軽い音とともにエレベーターの扉が開く。

「ここだよ。」

差し出された手に導かれて足を踏み出すと、目の前に広がったのは、まるで映画のワンシーンのような光景だった。

高級感あふれる調度品、煌びやかなシャンデリア、窓の外には都会の夜景が広がる。

――スイートルーム。

一歩で、日常から完全に切り離された世界。

思わず息を呑んだ私を、直哉さんは横目で見ながら楽しそうに微笑んでいた。

「シャワーを浴びて来るといい。」

低い声とともに、直哉さんはバスルームのドアを開けてくれた。

――これから、高峰社長に抱かれるんだ。

その事実に胸がぎゅっと詰まる。

私はこくりとうなずき、ドアを閉める。

静かなバスルームに響くのは、自分の鼓動ばかり。
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