社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「はぁ……」

甘い余韻に浸ったまま、私は直哉さんにしがみついた。

彼の体温がまだ残っていて、離れたくない。

「本当は、このまま抱きたいところだけど……長い時間は怪しまれるからね。」

低く囁かれる声に、現実が胸を突く。

それでも体の奥はまだ余韻で震えていて、欲望を抑えられない。

「立てる? 遥香?」

心配そうに問われ、私は首を横に振った。

本当は――まだ触れていてほしい。

彼は少し困ったように笑い、私の頬に何度も口づけを落とす。

「じゃあ……俺は先に戻るから。」

「……社長。」

名前を呼ぶ声が震えた。

「遥香、愛しているよ。」

真っ直ぐな眼差しでそう告げられ、胸が熱くなる。

背中越しに、立ち上がる彼の気配を感じる。

去っていくはずの足音が、ドアの前で一瞬止まり――

振り返ると、最後にもう一度だけ優しく笑ってくれた。

そして私は、愛される余韻に包まれたまま、ソファに身を沈めた。
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