社長、社内恋愛は禁止のはずですが
高森秘書の言葉に、胸がズキッと痛んだ。

――やっぱり、私なんかじゃ釣り合わない。

「その時によく社長室を使うものですから、今回も……と思って。」

淡々とした説明に、心臓が早鐘を打つ。

もしかして、私達のやりとり……聞かれていた?

「どうしよう……」

焦りで立ち上がりかけた瞬間――

「その……なんですけど……」

高森秘書の頬がふっと赤く染まった。

「社長が……あんなふうにされるなんて、初めて見ました。」

その言葉に頭が真っ白になる。

――やっぱり……聞かれていた⁉

でも同時に気づく。

社長が女性と“距離を縮める場面”を、彼女は今まで一度も見てこなかったということ。

つまり……直哉さんが特別に扱っているのは、私だけ。

その事実が、混乱と同時に小さな喜びを胸に広げていった。
< 124 / 273 >

この作品をシェア

pagetop