社長、社内恋愛は禁止のはずですが
やがて停まったのは、とあるマンションの前。

エンジンを切ると、直哉さんはようやくこちらに向き直った。

「正直……好きだって言われて、嬉しい気持ちはあった。」

そう言いながら、私の髪にそっと手を滑らせる。

指先が優しく頭を撫で、胸がざわめいた。

「だから……お礼を兼ねて、抱きしめたりはした。」

その言葉には、一切の言い訳がなかった。真っ直ぐで、ずるさのない告白。

胸がぎゅっと締めつけられる。やっぱり……私は特別なんかじゃ――。

でも次に放たれた言葉が、すべてを覆した。

「でもな。好きだって言われる前に、自分から動いたのは……遥香が初めてなんだ。」

その瞳は、迷いなく私だけを映していた。

「社長室で触れたのも、遥香だけ。ホテルで抱いたのも、遥香だけ。」

低く囁く声と共に、直哉さんの唇が私の唇を塞いだ。
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