社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「俺とお揃いの香り、買っておいた。」

さらりと言われて、思わず声を上げてしまう。

「ええっ⁉ わざわざ?」

「これもご褒美ですか?」と尋ねると、直哉さんは私の髪にそっと触れて、指先で梳いた。

低い声で囁く。

「これは……恋人としての贈り物だよ。」

胸がドキンと鳴った。

箱を持ち上げてみると、そこには「woman」の文字。

「もしかして、直哉さんのは……?」

「men'sさ。同じ香りでも、少し違う。」

ふっと笑みを浮かべた直哉さんが、私の首筋に顔を寄せる。

「今度は、その香りを纏った遥香を、俺だけが楽しみたい。」

お互い同じ香り。

でも少し違う。

その距離感が、なんだかくすぐったくて――とても愛おしかった。
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