社長、社内恋愛は禁止のはずですが
ああ、その笑顔――冷徹だと思っていた御曹司社長が、こんなにもまぶしい笑みを浮かべるなんて。

私はその瞬間に惹かれたのだ。

けれど口に出せない。好きだなんて、とても言えない。

「水城?」

気づけば彼の声に呼ばれていた。ハッとして視線を逸らす。

「す、すみません……」

ずっと見つめていては、さすがに社長に失礼だろう。

けれど心臓はまだ落ち着かず、彼の笑顔が頭から離れなかった。

すると高峰社長は、ちらりと腕時計を見た。

「じゃあ、これから会食があるから。」

「あ、は、はいっ!」

思わず背筋を伸ばして頭を下げる。

「足を止めてしまって、すみませんでした。」

「いや。おかげで有意義な話になったよ。」

その言葉に胸が熱くなったが、私は顔を上げられなかった。

熱を帯びた頬を見られるのが怖かったのだ。

次の瞬間――ふいに近づいた気配。耳元で低い声が囁く。
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