社長、社内恋愛は禁止のはずですが
私は思わず視線を逸らした。

「……どうして、そう思うんですか?」

声が震える。

唇が乾いて、喉が詰まる。

このままでは、秘密がばれてしまう――。

「隠す事ないですよ。昼間、社長がその袋を持って社長室に入っていくのを見ましたから。」

ドキンと心臓が大きく鳴った。……見られていた。

冷たい汗が背中を伝う。

「さすが、お気に入りは違いますね。」

岸本さんの視線が、バッグを突き刺すように追ってくる。

「そ、そんなんじゃ……」

声が震えた。

「今まで社長が誰かに贈り物をしたなんて、見たことなかったです。」

にやりと笑うその表情に、胸の鼓動が跳ね上がる。

「もしかして、水城さん……」

ハッとして顔を上げる。

岸本さんの口から出る言葉を止めたくて、呼吸すら止まった。
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