社長、社内恋愛は禁止のはずですが
オフィスビルを抜け、昼下がりの光が差す通りを歩く。

「直哉さん、南條はただ企画が通ったお礼だって言ってただけなのに。」

私は口を尖らせた。

すると、直哉さんがそっと私の手を握る。

「……ごめん。嫉妬した。」

その一言が、胸の奥をくすぐった。

社長なのに、御曹司なのに、こんなふうに子供っぽい言葉を口にするなんて――可愛い。

「そんな、嫉妬する必要ないのに。」

小さな声でそう返すと、今度は大きな手が私の頭に乗せられ、髪を撫でてくる。

「遥香の隣を歩くのは、俺だけでいい。……いや、俺だけって決めた。」

真っ直ぐな瞳に見つめられて、頬が熱くなる。

こんなこと言われたら、もう手を繋ぐだけじゃ足りない。

思わず私は、彼の腕に自分の腕を絡めた。
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