社長、社内恋愛は禁止のはずですが
「……やっぱり、こうしていたいです。」

「俺も。」

直哉さんが小さく笑うと、世界が二人きりになったように思えた。

直哉さんが選んでくれたのは、ホテルの中にある落ち着いた雰囲気のカフェだった。

「ここ、ちょっとした穴場なんだ。」

「へえ……」

二人で入ると、案内されたのは壁側の奥まった席。

周囲の目が届きにくい場所に、ふっと心が安らぐ。

「おすすめは、ランチセット。」

差し出されたメニュー表を一緒に覗き込みながら、私は小さく笑った。

「私、パスタセットにしようかな。」

「じゃあ、俺も同じにする。」

迷わず注文してくれるその姿に、思わず胸が熱くなる。

いつも仕事で見ている“社長”ではなく、隣にいる“恋人”としての顔。

「何もかも、直哉さんにリードされっぱなしですね。」
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